参考文献

このホームページを作るに当たって参考にした本を紹介します。それぞれ魅力的な本なので興味のある方は是非手にとって見てはいかがでしょうか。

茂木健「フィドルの本−あるいは縁の下のヴァイオリン弾き」(音楽之友社)
 解説で引用させていただいたこの本は、今まで日本ではほとんど言及されることのなかった民族音楽におけるヴァイオリン−フィドルについて本格的に研究、解説した初めての本です。このフィドル−ヴァイオリンという悩ましい問題に頭を悩ませていた私にとって、この本の発売は、本当に嬉しい驚きでした。唯一の欠点は「フィドル」側に視点が向いているため、クラシック系のポップミュージックについて冷たいというところでしょうか。(たとえばStuff Smithは評価するが、Joe Venutieはあまり評価しない、といった所)そのあたりヴァイオリンを愛する者同士、もう少し優しくてもいいのでは、と思ってしまいます。とはいうものの、まずはヴァイオリンファン必読の本であることに間違いはありません。またこの本は「はじめて音楽と出会う本」シリーズの1冊ですが、このシリーズはなかなか興味深いテーマを扱ったものが多いので興味のある人は是非他の本も読んでみてください。個人的には「日韓唱歌の源流」が特に面白かったです。

山尾敦史編「アイリッシュ&ケルティック・ミュージック」(音楽之友社)
 アイリッシュの各ミュージシャン、アルバムを網羅した、まさにこれ一冊でアイリッシュミュージックについて理解できるすばらしい本。アイリーンアイバースを聴いてアイリッシュに興味を持ったものの、何を聴いたらいいのかさっぱり判らなかった私を導いてくれた本です。アーティスト、アルバム紹介だけにとどまらず、アイルランドの文化や歴史、時代背景、それに各種用語まで解説されているその広範な編集作業には驚嘆します。

中村とうよう「ポピュラー音楽の世紀」(岩波新書)
 ポピュラーミュージックにおけるヴァイオリンを研究しようと思いながら、ポピュラーミュージックそのものの歴史すらほとんど知らなかった私にとってこの本の出版は極めてタイムリーでありがたかったものです。タイトル通り、世界中の様々なポピュラーミュージック−ジャズ、ブルース、ショーロ、ボサノバ、ルンバ、マンボ、レゲー、タンゴetcの成立、発展の歴史を概観できる素敵な本です。ただあまりにも広範すぎるため、知らないジャンルについては音について想像できず、欲求不満がたまったりりもしますが。嬉しい不満です。

水城雄「誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」(ブックマン社)
 ジャズについて勉強しようと思いながら、なかなか初心者にも判りやすくジャズについて書いた本がなく困っていたときにこの本を見つけました。「ジャズってなんだろう?」というシンプルな問いかけに始まり、私のような初心者にも判る優しい言葉で、ジャズについての様々なタームを丁寧に説明してくれてます。ジャズヴァイオリンについても、偏見なく評価をしてくれているあたりが嬉しいところ。鼻持ちならない蘊蓄や初心者にはちんぷんかんぷんの高尚な専門用語で敷居の高いジャズ解説書の中で異彩を放つ1冊です、

深民淳「ルーツ・オブ・ブリティッシュ・ロック」(シンコーミュージック)
 この本は、60年代後半から70年代前半のロックが多様化していく時代を様々なバンドを紹介しながら解説している本です。プログレッシブロックというものについてハードロックと対等に比較しながら扱っているため、「プログレ」というものを音楽的にかつ歴史的に客観的に理解できる本となっています。私がヴァイオリン入りのプログレッシブロックがいろいろあることを知ったのはこの本からでした。

「音楽を読む本」編集委員会編「ヴァイオリンを読む本」(株式会社トーオン)
 ヴァイオリンについての平易な解説本ですが、それだけに判りやすくヴァイオリンの歴史や構造を勉強するには格好の1冊です。完全にクラシックの視点で書かれた本ではありますが、「ポピュラーミュージック」のヴァイオリンニストというタームで20世紀前半頃のサロンミュージック系ヴァイオリンニストに触れているあたりは、このHPと関連する部分でもあり興味深いです。

Julie Lyonn Lieberman"IMPROVISING VIOLIN"
 これは洋書ですが、この本との出会いがこのHPを作らせることになったと言っても善いくらいの本です。内容はタイトル通りヴァイオリンの即興演奏のための教本なのですが、各種ポピュラーヴァイオリンの歴史の体系的な解説に始まり、様々なヴァイオリンアーティストを本人自身のインタビューも交えて紹介しています。そしてさらにBlues Fiddle、Swing Violin、Jazz Violin、Rock Violin、Folk Fiddle、New Age Violinとジャンルごとに詳細にその奏法を解説しています。このヴァイオリンについての情報はすばらしいものですので、洋書ではありますが是非興味のある方は手に取ってみてください。ちなみに、この筆者自身も現役ジャズヴァイオリンニストとしてアメリカで活躍しているようです。

Julie Lyonn Lieberman"BLUES FIDDLE"
 上記本と同じ筆者による本ですが、上記の中でも特に「Blues Fiddle」について焦点を絞って書かれた本です。基本的には教本ですが、本当に古い生粋のブルースフィドルから最近のジャズミュージシャンによるブルースフィドルまで様々なミュージシャンを取り上げて、その音楽的ルーツや奏法を詳細に分析しており、古い写真や逸話なども含めて興味深い1冊です。

Matt Glaser and Stephan Grappelli"JAZZ VIOLIN"
 この本はブルーグラス系の若いフィドラーMatt GraserがStephan Grappelliへのインタビューや彼をはじめとするSwing Jazzのプレイヤーたちの奏法を分析、解説している本です。特にGrappelliについては彼のアドリブソロの譜面を多数収録し詳細に解説しています。また、Jean-Luc Pontyのインタビューとソロ解説も掲載しています。なかんか日本では読むことのないGrappelliのインタビューが興味深い1冊です。もちろん教本としても充実しています。

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